家政婦だって、恋したい
「結衣、兄さんはまだ気付いていないと思うわ。惚れたら解雇するって言ったのなら、本当にそうする人だから。本当なら、私は結衣を応援したい。親友の好きな人だもの・・・でも、兄さんは、兄さんだけはやめて欲しい。ごめんなさい・・・」
私に頭を下げる緑花は、とても苦しそうに私を見た。
そんな緑花を見ていると、
頑なに碧斗さんが
自分を好きになられるのを嫌がっているのは、
過去に何かあったのではないかと、思わずにはいられなかった。
・・・でも。
それでも私は、
碧斗さんの側に居たい。
恋愛のパートナーとしては無理でも、
家政婦として支えてあげたい。
碧斗さんの全てを受け入れて。
私は、パスタをフォークでクルクルと巻き付けながら緑花を見ると、
この行く宛のない恋心が苦しくて、切なく笑った。