家政婦だって、恋したい


自室に入って何時間経っただろうか。

窓を見ると、太陽が沈みかけて空が茜色に染まっている。
どうやら、昼飯を食べる事も忘れて、仕事に没頭してしまったようだ。

「流石に腹減ったな。」
食べてない事を思い出すと、急に空腹が襲ってきた。
俺は伸びをして立ち上がり、何か腹に入れようと、リビングへと向かう。



「あ、碧兄。やっと出てきたわね。」
リビングへ入ると、俺の家にはあるはずの無いクリスマスツリーが、チカチカと光っていて、その周りを緑花が飾り付けをしている最中だった。
「・・・」

「あ、碧斗さんお疲れ様です。」
結衣はというと、キッチンで晩飯の支度をしているらしく、リビング中に美味しそうな匂いが漂っていた。

「・・・なんだこれは。買ったのか?」
「そう、買ったの!素敵でしょ〜♪」
緑花はそう言いながら、鼻歌混じりにどんどんツリーを飾り付ける。


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