家政婦だって、恋したい
「あれ、緑花来てたんだ?碧斗さんは?」
辺りを見回すが、碧斗さんの居る気配はない。
「碧兄は、ちょっと職場に行って来るってさ。」
「あ、そうなんだ。・・・実家はもういいの?もうアメリカ帰るんでしょ?」
「いいのいいの、あんなところ。
ずっと居たら、毎日縁談話が来ちゃうもの。御免よそんなの。
日本滞在最後くらい、親友と居るわ。」
「・・・大変だね、緑花も。」
お金持ちも大変だなと、親友の立場になると同情する。
「私の事はいいのよっ!あんたはどうなのよ?」
「私・・・?」
突然私に話が振られ、一瞬何の事か分からずキョトンとする。
「碧兄を想ってる分には、別にいいと思うけどね!
でもいつかは、好きな人にもっと近付きたいって思うと思う。
好きなのに近付けない、バレたらいけない。って、そんな辛い事ある?
・・・結衣の為を思うなら、そうなる前に、他の素敵な人を見つけるべきだと、私は思うんだけど。」