家政婦だって、恋したい
「別の玉の輿相手探す?私のお見合い相手なら、幾らでも紹介してあげるわよ?」
何回か鼻をかんで落ち着いてきた私は、
緑花のその言葉に思わず笑ってしまった。
「何よ、笑うなんて失礼ね!私は割と本気よ?」
緑花も、
私が笑っている事に安心したのか、釣られて笑う。
「そうねぇ?じゃぁ、別の玉の輿相手を探してみようかな?」
「お願い出来る?」と続けて、悪戯っぽく緑花を見つめた。
「この緑花様に任せときなさい。」
緑花は応えるように、フフンッと偉そうに微笑んだ。
この時の私たちは、
リビングのドアの外で、
碧斗さんに聞かれてしまっていたなんて気付かなくて、
それがきっかけで、
私と碧斗さんが離れる事になるなんて、
これっぽっちも思わなかったーー。