家政婦だって、恋したい
ガチャ。
やっと碧斗さんが帰って来たのは、
緑花が帰ってから約8時間後の事だった。
「碧斗さんっ!ずっと仕事されてたんですか?緑花アメリカに帰ってしまいましたよ?」
「・・・そう。」
年末年始の休みを経て、
久しぶりに会ったからなのか、
何だか碧斗さんが素っ気ない気がする。
「ご飯にされますか?」
「・・・いい。またこれから出る。」
「そうなんですか?そんなに忙しいんですね・・・お夜食でも作りましょうか?」
「いい、いらない。」
「で、でも・・「いいって言ってるだろ!」
やっぱり、碧斗さんの様子がおかしい。
今までどんなに仕事が忙しくて疲れていても、
ここまでイライラしている様子はなかったのに・・・。
八つ当たりするかの様に碧斗さんは髪を掻き、リビングから出て行こうとする。
が、ピタりと足を止めた。
「・・・しばらく帰らないから。実家帰るなり、他の仕事するなり、好きにしたら?」
そう言い残すと、バタンッとリビングの扉が閉まった。