家政婦だって、恋したい
「碧斗さんっ!ずっと仕事されてたんですか?緑花アメリカに帰ってしまいましたよ?」
職場にも代えのスーツはあるが、一旦帰る事にした俺を、
結衣は心配そうに出迎えた。
「・・・そう。」
(これもどうせ、俺を落とす為の演技なんだろ?)
結衣の全てが嘘に見えてくる。
「ご飯にされますか?」
「・・・いい。またこれから出る。」
「そうなんですか?そんなに忙しいんですね・・・お夜食でも作りましょうか?」
「いい、いらない。」
「で、でも・・「いいって言ってるだろ!」
俺は苛立ちを隠せず、頭を乱暴に掻き、リビングから出て行こうと思ったが、ドアの前で足を止める。
「・・・しばらく帰らないから。実家帰るなり、他の仕事するなり、好きにしたら?」
(だから早く俺の前から消えてくれ。)
そう言い残すと、
俺は乱暴にドアを閉め、
数日分の荷物を持ってマンションから出て行った。