家政婦だって、恋したい
「お前、最近おかしくないか?前のお前みたいだぞ。」
会議の為迎えに来た拓哉が開口一番、俺を見て言う。
「何が?前も何も、俺はずっと変わらないだろ。」
拓哉を見ずに、PC画面を見つめながら答える。
「いーや。結衣ちゃんが来てから、お前はなるべく早く帰ろうとしていたし、女遊びは辞めていたはずだ。それなのに、最近はホテルから会社に通ってるだろ。」
(チッ。バレてたか…)
流石は従兄弟兼優秀な秘書なだけある。
「結衣ちゃんと、何かあったのか?」
「…何も。」
そう、何もない。最初から。
結衣は俺の金と地位がほしくて近寄った。
俺の為にしてくれていたと思っていた心配や思い遣りは、
最初から何も意味はしていなかったんだ。
俺はもうこれ以上は話たくないとノートPCの画面を閉じ、
拓哉を素通りして会議へと足を進めた。