家政婦だって、恋したい
「碧斗、どのくらい帰っていないの?」
リビングにあるダークブラウンのレザーのソファに腰掛け、私が出した紅茶を一口啜ると、拓哉さんは尋ねてきた。
「今日で5日になります。」
「・・・そっか。」
拓哉さんは私の答えを聞くと、悲しそうに紅茶を見つめている。
「あの・・・拓哉さんは何かご存じなんですか?碧斗さんがお帰りにならない理由を。」
私のその質問に、一瞬固まる。
「・・・俺も、何があったのかは知らない。けど、最近の碧斗は結衣ちゃんと出会う前の碧斗に戻った感じだ。俺もそれが気になって、今日結衣ちゃんを訪ねたんだけど・・・結衣ちゃんのその口振りだと、何も知らないみたいだね。」
確かに、最後に碧斗さんと会った時、出会った頃の様な碧斗さんみたいだった。
何もかも拒絶してしまっているような、そんな雰囲気で。
「結衣ちゃん。」
私が黙っていると、悲しそうな笑みで拓哉さんは私を見つめていた。