家政婦だって、恋したい



冷蔵庫から水のペットボトルを取り出し、水を飲む碧斗さん。


私は、碧斗さんの言葉を待つようにその姿を見つめる。


それに気づいた碧斗さんは、
ドンッと勢いよく大理石のダイニングテーブルに、今飲んでいたペットボトルを叩きつけるが如く置いた。

蓋の空いたままのペットボトルからは、あちらこちらに水が飛び散った。






「……だ。」

「…え?」

ぼそっと呟くように言われたので、私は上手く聞き取ることが出来なかった。


「…終わりって言ったんだ。今日で。」

碧斗さんは、苛立った様に頭をかき、私へ視線を合わせないように言う。


「終わりというのは…その…」

「契約が?」という言葉は口には出来なかった。

言葉にしてしまうと、それが現実になってしまうのが怖くて。



だけど、

碧斗さんは私の期待を裏切る様に言葉を続ける。


「お前との『契約』を、本日をもって終了する。」





< 223 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop