家政婦だって、恋したい
冷蔵庫から水のペットボトルを取り出し、水を飲む碧斗さん。
私は、碧斗さんの言葉を待つようにその姿を見つめる。
それに気づいた碧斗さんは、
ドンッと勢いよく大理石のダイニングテーブルに、今飲んでいたペットボトルを叩きつけるが如く置いた。
蓋の空いたままのペットボトルからは、あちらこちらに水が飛び散った。
「……だ。」
「…え?」
ぼそっと呟くように言われたので、私は上手く聞き取ることが出来なかった。
「…終わりって言ったんだ。今日で。」
碧斗さんは、苛立った様に頭をかき、私へ視線を合わせないように言う。
「終わりというのは…その…」
「契約が?」という言葉は口には出来なかった。
言葉にしてしまうと、それが現実になってしまうのが怖くて。
だけど、
碧斗さんは私の期待を裏切る様に言葉を続ける。
「お前との『契約』を、本日をもって終了する。」