家政婦だって、恋したい
「…おい結衣。そんなに働き詰めなくてもよくないか?」
心配そうに私を見つめて言うゆうくん。
「大丈夫よ!私、そんな柔じゃないし。家政婦の仕事する前はこんな感じだったでしょ?」
「…結衣…」
ゆうくんは何か言いたそうに立ち上がり、私に近づいて来る。
私は咄嗟に鞄を手に取り、足早に玄関に向かおうとする。
「結衣っ!ちょっと待て!少し話をっ」
ゆうくんは私の腕を掴みかけたその時、
行き成り視界がぐらりと揺れ、
私は意識を失ったーーー。
唯一その日のことを覚えているのは、
私の腕を掴んで、焦った様子で見つめるゆうくんの表情だけだった。