家政婦だって、恋したい



「あのさ。」

私が言い終わり黙り込んでいると、ずっと黙って聞いてくれていた緑花が口を開いた。


「碧兄も馬鹿じゃないし、もし結衣が自分の事を好きになったと知ったとしても、手放したくないって思っていた相手に、それだけで契約終了は言わないと思うんだよね。」

「…そんなこと、思われてないよ…」

「もうっ!この子ったら、どうしてこうも自己評価が低いのかしらね。碧兄が、ただの道具としか思ってない相手に、ご褒美なんてあげるわけないじゃない。」

「そうなのかな…?」

「そうなのっ!!だから結衣、言いたいことはちゃんと言わないと。さっき言った言葉、碧兄に直接言いなさい。」


「で、でも…」

「でも…じゃないっ!このまま、2度と会うことが無くなってもいいの?今後悔してるんだったら、駄目元でも伝えたら?」

「私も傍にいてあげるから。」という緑花の言葉を心に受け止め、

母が居なくなってしまった時の後悔を思い出す。




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