家政婦だって、恋したい
「お前も、他の女と同じで、俺の地位と金目当てだったんだもんな?」
見下た表情で私に問いかける碧斗さん。
「…碧兄、もしかして、実家から帰ったあの日、本当は帰って来てたの?私と結衣の話聞いてたのね?」
「…」
「…え?話?」
何の事だかわからない私を他所に、緑花は何か理解したようだった。
「碧兄、何か勘違いしてる。結衣がそんな事出来るわけないじゃない。」
「…どうだか。玉の輿を狙ってるやつなんて、何考えてるか分かんないだろ。」
『玉の輿』
その言葉を聞いて、やっと合点がいった。
正月休みが終わっても、職場によると言って碧斗さんが帰ってこなかったあの日、
本当は碧斗さんは帰ってきていたんだ。
そして、私が緑花に相談していた話を聞かれていた?
(…そっか、それで私が碧斗さんの事を好きだって知られてしまったのね…)
私はあの時の事を振り返ると、今の碧斗さんの態度に納得ができた。