家政婦だって、恋したい
だが、緑花は違う様で、納得出来ないって顔で苛立っている。
「…一体どこから聞いてたの?ちゃんと聞いていたら、結衣がどれだけ碧兄の事が好きなのかわかったはずでしょ?」
キッと睨みつけながら碧斗さんを見る緑花。
私はちらりと碧斗さんを見遣ると、とても驚いた顔をしていた。
「結衣が、俺を好き…?」
「やっぱり。碧兄、勝手に決めつけて変な態度を取るのはやめて。結衣が人を騙してお金を取るような女じゃないって、碧兄もわかっているでしょ?」
「…」
「2人でちゃんと話会うべきよ。私は席を外してあげるか「帰れ!」
緑花の言葉を遮って叫んだ碧斗さんは、眉間に皺を寄せ、険しい表情で苛立っていた。
「…言われなくても、私は退席す「2人とも出ていけ!」
「は?碧兄、何言ってんの?」
「うるさいっ!聞こえなかったのか?出ていけ!」
碧斗さんはそう言うと、レザーソファの上に置かれていた緑花と私の鞄を掴み、押し付けるように持たせると、睨みつけながら扉へ指を指した。