家政婦だって、恋したい
「なんなのよ、もうっ!!」
私たちは結局、碧斗さんのマンションを追い出されてしまった。
「私、そこまで碧斗さんに嫌われちゃったんだね…」
「…結衣…」
「いいの。雇ってもらう前に言われてたもの。『惚れたら解雇』って。」
私は辛くて泣きたい気持ちを抑え、必死に笑おうとする。
「…結衣、あんなやつやめときな。私が良い人紹介してあげるから。」
そういうと、緑花は私をぎゅっと抱きしめた。
「緑花、ありがとう。…でも、私は碧斗さんがいいの。ごめんなさい…」
私を気遣ってくれる親友に感謝を込めて、私も緑花を抱きしめた。
「…結衣が、それでいいのなら…」
通行人の人々に見られながらも、
私たちは暫くマンションの前で抱き合っていた。