家政婦だって、恋したい
縛られた過去
ー碧斗sideー
『結衣がどれだけ碧兄の事が好きなのかわかったはずでしょ?』
結衣が俺を好き…
俺の中でずっと、その言葉が木霊している。
久しぶりに見た結衣は、
顔が青白く、痩せたように見えて、俺を見ると泣きたいような顔をしていた。
『好き』という言葉が嬉しくないわけではない。
だけど、
何か誤解があると緑花は言うが、そんなことはどうでもいい。
玉の輿に乗る為に、結衣が俺に近づいたのは事実だろう。
それを知って、もう結衣を信じることは出来ない。
今までの、結衣と過ごした居心地のよかった思い出は、
全て偽りとなってしまった。
そして、
俺の捻じ曲がった女性への感情が、
さらに捻じ曲がるのを感じていた。