家政婦だって、恋したい
「おい碧斗。凄い顔だぞ?…昨日はちゃんと寝たのか?」
次の日の朝、8時に出社した俺を、社長秘書の従兄:拓哉が出迎えた。
「…お前昨日、やたら家へ帰れと言ったのは、緑花に言われたな?」
「だってお前、結衣ちゃんとギクシャクしてから、ちゃんと寝ていないだろ?辞めさせてからは、夜も遊び歩いているし…”一夜の帝王”復活しているぞ?」
「…」
俺は答えず、黒のロングコートを拓哉に放りなげ、ノートパソコンを開く。
「…お前さ、結衣ちゃんが本当に、お前を騙しに来たと思っているわけ?」
俺のコートをハンガーに掛け、クローゼットにしまいながら、拓哉が聞いてくる。
別に俺が進んで話したわけではないけど、拓哉には結衣と緑花から聞いた話を話している。
いや、正確には、夜遊びし出した俺を問い詰め、自白させたわけだが。