家政婦だって、恋したい
その後、
受験勉強を開始したこともあって、部活と勉強で忙しくなった俺は、
彼女が何をされているのか知ることもなく、
いよいよ、半年が過ぎてしまっていた。
事の重大さを知ったのは、
もうすぐ受験を控えている拓哉が、
切羽詰まった形相で俺を探しに来た時だった。
あの日、
昼休みに図書室で勉強していた俺は、
久しぶりに見る息切れした従兄弟が、
目の前でただ事ではない表情をしていることに、心の底から不安になった。
「拓哉…どうした?」
「…ハァ、ハァ……やばい…お前っ…今すぐ…屋上へ…」
「屋上…?」
”屋上”
その場所と、拓哉の表情を見ると、
俺は咄嗟に図書室から駆け出していた。
「…っ」
(頼む、勘違いであってくれ…)
俺は祈るように、屋上へ向かった。