家政婦だって、恋したい
屋上へ着いた俺は、
目の前で起こっている状況に言葉を失くした。
「やめろっ!いいからこちらへ戻ってこいっ!」
「お願いっ!戻ってきてっっ!!」
先生方が必死に、フェンスの向こうに佇む彼女へ言葉を投げかけている。
「なんで…」
俺が無意識に言葉を吐き出すと、彼女も先生も俺に気づいたのか、こちらを見た。
「碧斗くん…私…」
そう呟いた彼女は泣いていた。
「どうして…?」
俺の問いかけに彼女は答えない。
彼女に近づいて引き止めたいのに、体が言うことを聞かず、一歩を踏み出せない。
「ごめんね…」
ようやく足が動いたと思った瞬間、
彼女は屋上から飛び降りた。
『最後に碧斗くんに会えて良かった。』
と、言葉を残して。