家政婦だって、恋したい
後になってわかったのは、
俺が女子たちに囲まれた彼女を助けに入ったあの日よりも前から、
彼女は複数の女子たちから、虐めともとれる嫌がらせを受けていた、
という事実だった。
どうして俺は、
元気がなくなったと感じていながら、彼女に何も聞かなかったのか。
どうして、
彼女が女子たちに好き勝手に言われていたのを見ておきながら、警戒しておかなかったのか。
もっと彼女と一緒に居ていれば…
もっと彼女と話をしていれば…
何度悔やんでも、悔やみきれない。
この行き場のない悲しみと怒りを、何にぶつけたらいいのかわからない。
涙すら出ない自分は、
ひょっとしたら、人間ですらないのかもしれないとすら思えてきた。