家政婦だって、恋したい
俺たちは今、近くのカフェで向かい合って座っている。
「…」
お互い何も言い出せずに、無言で目の前のコーヒを見つめている。
「…お久しぶりです。」
俺は耐えかねて話かけたが、彼女の母親は「ええ…」とだけ答えた。
またひと時の沈黙が訪れる。
…気まずい。
向こうが話があると言っていたのに、なかなか話そうとしない。
会社だったら即退席しているところだ。
「これ…あの子の机の中にあったの。」
やっと話し出したのは、入店してすでに20分が経った頃だった。
彼女の母親は、鞄から黄色い手紙を取り出すと、俺の前へと置く。
自然と置かれた手紙に目を遣るとそこには、
『碧斗くんへ』と書かれていた。
「これ…」
「読んでみて?」
俺は恐る恐る手紙を開けた。