家政婦だって、恋したい


【 碧斗くんへ
 今、この手紙を読んでいるということは、私は既にこの世にはいないんだね…
 私が弱くてごめんなさい。

 優しいあなたの事だから、
 きっと気に病んでくれていることだと思います。
 だけど、勝手なお願いだけれど、私はそれを望みません。
 
 藤崎碧斗という人は、
 これから先、日本を支える藤崎リゾートという会社の
 トップになるべき人だから、
 私なんかの事で、つまづいてほしくないの。
 
 本音を言うとね、
 この先の碧斗くんを見てみたかった。
 
 一緒に旅行にも行きたかったし、受験勉強も一緒にしたかった。
 同じ大学は無理でも、
 大学生の碧斗くんもみたかったし、デートもたくさんしたかった。
 
 私が碧斗くんに告白したあの日、
 告白はしたくせに、まだ断られる勇気がなくて、
 咄嗟に「1週間後に返事をください」って言っちゃった。
 だからまさか、1週間後に告白してくれるなんて思わなくて、
 本当に嬉しかったなぁ…

 
 
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