家政婦だって、恋したい
彼女の母親とは、その後すぐ別れた。
俺の中で何かが変わったとは思うが、何とも言えない感じだ。
自宅に帰り、シャワーを浴び終え、
水を飲もうと冷蔵庫を開けると、チャイムが鳴り響く。
「どうかしたか?」
ムスッとした顔で、リビングダイニングに入ってきた拓哉に向かって、俺は問いかけた。
「『どうかした?』じゃないだろ!今日はお前が荒れると思って、心配して来てやったっていうのに!」
「…そうか、悪かったな。」
毎年、彼女の命日に墓参りに行った後、俺は荒れに荒れまくる。
それを知っている拓哉は、心配してこうして来てくれたというわけだ。
だが、今年の俺は荒れることもなく、普通に過ごせている。
拓哉はそれが不思議でならないらしい。
「何で今年は普通なんだ?」
「さぁな、俺にもよく分らん。」
「やっぱり結衣ちゃんの…」
拓哉はハッとして言葉を詰まらせる。