家政婦だって、恋したい
結衣の名前を聞いただけで、気持ちが穏やかになった気がする。
自分で結衣を信じられなくなって遠ざけたくせに、虫が良すぎるとは思うが。
「碧斗…しつこいようだけど、結衣ちゃんはやっぱり碧斗の事、本気だったと思う。」
「…」
「考えてもみろよ。親友の兄なんて騙せないだろ?親友と仲が悪くなるだけだ。本当は親友だと思っていないならともかくさ、結衣ちゃんと緑花は違うだろ?そんな危険を犯すくらいなら、違う奴のところに普通行かないか?」
…確かに。
心穏やかな今、俺は冷静にかつ客観的に分析している。
だとすると結衣は、本当に俺の事が好きなのか?
結衣と過ごした日々は、偽りではなかったということなのか?
そう思えた瞬間、
結衣との過ごした日々が、とても大切なものに変わってきた。
「…最後のチャンス。お前も必ず来い。」
拓哉は、『招待状』と書かれた手紙を俺に手渡すと、そそくさと出て行った。