家政婦だって、恋したい
私はお洒落なアンティークの椅子から立ち上がり、拓哉さんの前へと駆け寄ると、
「拓哉さん。お招きいただきまして、ありがとうございます。この度はご婚約、おめでとうございます。」
と言葉を添え、45度に腰を曲げた。
今日はなんと、
拓哉さんと、金麗花の若女将である麗奈さんの婚約披露パーティがあるらしく、
緑花と一緒にご招待していただいたのだそう。
私は当日に知らされたのだけれど、
緑花的にはサプライズにしたかったのだとか。
多分、私に事前に知らせれば、
碧斗さんを気遣った私が、出席を断るんじゃないかと思ったからだと思うけれど…
「…結衣ちゃん、そんな畏まらなくてもいいよ。緑花が急にお呼びだてしたみたいでごめんね?俺は事前に知らせておけって言ったんだけど、なんだか張り切っちゃって…」
「だって!碧兄にぎゃふんと言わせてやりたいじゃない!」