家政婦だって、恋したい


「いや、緑花は来てるよ。さっき会ったから。なんでも、”やらなきゃいけない事”をやってから来るそうだよ」

拓哉は何故か、嬉しそうに麗奈に答えていた。

「”やらなきゃいけないこと”?何それ?」

「それは来てからのお楽しみだよ。」

そう言って拓哉は、笑顔で俺を見た。



するとタイミング良く、入り口の方がざわめきだした。

「お、噂をすれば。来たぞ♪」

拓哉が呟いたのと同時に、入り口の方に目を遣る。


そこに居たのは、深緑のシフォンドレスを着た緑花と、深い赤色のタイトなロングドレスを着た朱音が居た。

「朱音!来てくれたのね!…あら?あの子。」

なかなかこういう場に来ない姉が来て喜んでいた麗奈だったが、

朱音と緑花の後ろに隠れるように佇む1人の女性を見ると、そちらに興味が移った様で、

俺もまた、その女性に目が釘付けになった。


「結衣…」

そこに居たのは、家政婦の結衣とは違う、美しいご令嬢となった結衣だった。





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