家政婦だって、恋したい
「なんだよっ!」
パーティ会場から出ると、朱音の手を振り払う。
「なんだ、じゃないわよ。あんた馬鹿なの?なんで、あんな良い子を突き放したのよ。」
どうやら、緑花が朱音にしゃべったようだ。
「…姉貴に関係ない。」
「昔、あんたに何かあったんだろうとは思っていたけれど、それと結衣ちゃんは関係ない。あの子が今、どんな気持ちでここに来たかわかる?突き放されても尚、ここに来た気持ちが。あんたももう、見て見ぬフリをするのはやめなさい?」
「…」
そんなこと、言われなくてもわかっている。
さっき、美しく変身した結衣に心奪われただけじゃない。
結衣に会えたことに、心の底から嬉しく感じて動けなかったんだ。
「ずっと遊んでばかりいるあんたを心配してた。けれどその心配ももう、不要のようね?」
俺の表情を見て何かを確信した朱音は、嬉しそうに微笑む。
「ま、でもあんたも苦労するかもね?結衣ちゃん、あの子モテるわよ?」
そう吐き捨てると、朱音は一人、会場へと戻っていった。