家政婦だって、恋したい
俺が会場に戻ると、何故か結衣が一人、会場の端で男性陣に囲まれてオロオロしていた。
周りを見渡すと、緑花と朱音は両親のところへ、麗奈と拓哉は列席者へ挨拶周りへと行ってしまっていた。
「姉貴め…」
麗奈と拓哉はともかく、緑花が結衣を一人にする筈はない。
これは正しく、朱音の陰謀によって成り立っている光景だった。
俺が結衣を助けに行く前提の。
「チッ!」
まんまと策略に乗ってやる自分に舌打ちをしつつも、身体は素直に結衣のところへ駆け出していた。
「君、どこのご令嬢?良かったら今度食事でも。」
「いやいや!私と今度ランチにでも!」
「いやいやいや!俺と行きましょう!!」
猛アプローチをかける男性陣に、結衣は圧倒されている。
俺はすかさず結衣の手を取り、己の物であるかのように肩を抱いた。
「私の連れが、何か?」
その言葉に、男どもも結衣も驚いて俺を見つめる。