家政婦だって、恋したい
「い、いえいえいえ!藤崎さんのお連れさんだったんですね!綺麗なお嬢さんですね!で、では、私は用を思い出しましたので、これにて失礼致します!!」
「わ、私も!」「私も!」と、男どもはそそくさと去って行った。
結衣と二人、会場の端に残されたが、まだ俺は結衣の肩を抱いたままだ。
結衣は気まずそうにしつつも、俺の手を払い除けようとはしないので、少しホッとする。
「あ、あの…助けて頂きまして、ありがとうございます。」
遠慮がちに言う声は、少し震えている様だった。
「いや…あぁ。」
名残惜しかったが、俺は結衣の肩から手を放し、少し距離をおく。
そうしないと、このまま抱きしめてしまいそうだったから。
そんな感情が、自分の中にあるなんて知らなかった。
今日、結衣を見て確信した。
いや、前からあった感情だと思うが、見て見ぬフリをしていたんだ。
だけどもう、隠すのはやめる。
俺は、結衣が好きだ。