家政婦だって、恋したい
私の肩から手を離し、距離を取る碧斗さんに寂しさを感じてしまう。
それに悟られないよう、顔を隠すように俯いた。
何か、何か言わないと…。
いざ気持ちを言うとなると、なかなか言葉が出てくれない。
「あ、あの…助けて頂きまして、ありがとうございます。」
咄嗟に言葉を発したら、緊張で少し震えてしまった。
「いや…あぁ。」
相変わらず、碧斗さんは素っ気ない。
やっぱり、碧斗さんは私に会いたくなかったのかもしれない。
気持ちを伝えようと決心してここに来たのに、
言わない方がいいのではないかと思う、私の弱い部分が顔を出す。
自分の中で葛藤をしている間、2人の間には沈黙が流れる。
とりあえず今は落ち着こうと、
緑花と合流しようと思い、「失礼します。」と立ち去ろうとした時、
碧斗さんに腕を掴まれた。