家政婦だって、恋したい
「…信じてもらえないかもしれませんが、私は碧斗さんに出会ったあの日からずっと、玉の輿なんてすっかり忘れてしまうくらい、貴方の側で、貴方の喜ぶ顔が見たくなってしまったんです。」
怖くて、碧斗さんの顔が見られない。
それでも私は、自分の足元を見つめながら言葉を紡ぐ。
「碧斗さんが家政婦になって初めて仰った、『俺に惚れたら即解雇』の約束があったから、私は必死に、自分の気持ちを隠して過ごしてきました。…そうすれば、碧斗さんのお側に居られると思った…から…」
言葉を続けたいのに、
声が掠れ、視界がぼやけてきて、上手く続けられない。
私は、手の甲で涙を拭い、自分を落ち着かせるように深呼吸する。
そして、
涙が浮かんで視界が滲むけれど、しっかりと碧斗さんを正面から見つめた。