家政婦だって、恋したい
「…信じられないって顔だな?」
いつの間にか、涙が引っ込み、碧斗さんの顔がよく見えるようになっていた。
困ったような、怒ったような、何だか不思議な表情をしていた。
「…おい、何か言えよ。」
「えっと…」
言えと言われましても、
自分ですら、何を言われたのか理解出来ていない。
…好き?
好きと言ったの?
碧斗さんが?
「…まぁ、あんな拒絶をした後だし、信じられないよな。」
「えっと…」
「いいよ。自分でも、今更気付くなんて馬鹿だ思う。結衣にした事を考えると、当たり前だな…でも…」
碧斗さんは再び、私を強く抱きしめる。
「…もう、離したくない…側に居てくれ、結衣。」
これは、夢だろうか?
私の願望が夢となって現れたのだろうか?
好きな人に抱きしめてもらえて、
好きな人に好きって言ってもらえる、
そんな願望が。