家政婦だって、恋したい
「今すぐ辞めろ。」
ゆうくんは食い下がらない。
「あのね、ゆうくん。私を紹介した会社の評判にも関わるし、来て早々辞めるなんて、そんな無責任な事は出来ません。」
それに、
碧斗さんは駄目でも、玉の輿を狙わないと今の家の状況は変わらない。
「辞めちまえば関係ないだろ。」
私の気持ちを知ってか知らずか、しつこく言ってくるゆうくん。
「辞めろ」と言われるのが分かっているから、何も言わずに家政婦を始めた。
「玉の輿になる」なんて言った日には、碧斗さんの家に乗り込んで来るだろう。
「辞めません。」
それでも私は揺るがない。
全ては家族のため。