家政婦だって、恋したい
「すみません、まだ夕食出来ていなくて…」
結衣は困った顔をする。
「えっと…そちらの方は?」
俺の後ろに居た拓哉に気付いた結衣が尋ねてきた。
「初めまして、素敵なお嬢さん。俺は碧斗の従兄弟で秘書の藤崎拓哉と言います。」
「初めまして。碧斗さんの家政婦をさせて頂いています、加住結衣と申します。」
結衣は、拓哉が自己紹介すると、持っていた包丁を置き、丁寧にお辞儀をした。
「結衣、拓哉はすぐ女に手を出すから気を付けろよ。」
俺は気障っぽい拓哉をからかうように、結衣に忠告する。