家政婦だって、恋したい
「…いらない。」
「こら碧斗っ!折角結衣ちゃんが作ってくれたのに。」
「いいですよ、拓哉さん。碧斗さん、食べられそうになったら言ってくださいね。」
私は、お粥のお盆を再び持つと、まだ何か言いたそうな拓哉さんを連れて、碧斗さんの部屋から出た。
「何か、ごめんね。」
廊下に出るなり、自分の事のように私に謝る拓哉さん。
「気にしていませんよ。これは私の仕事ですので。」
私は笑顔で返す。
拓哉さんにとって、碧斗さんは世話の掛かる弟みたいなものなのだろうか。
だとしたら、
影ながら弟を支える、素敵な兄だなと思う。