家政婦だって、恋したい
「この部屋、好きに使ってくれていいから。」
玄関から正面に見える扉、8帖程のベッドルームに案内してくれた。
「はい、ありがとうございます。」
私は少し怯えながら、返事をする。
「何怯えてんの?緑花から何か聞いた?」
「いえ何も。」
私は碧斗さんの目を見れないでいた。
緑花の話だと、
碧斗さんは、
その整った美しい顔と、金持ちに目が眩んだ女性ばかり寄ってきてウンザリしていて、「女は性欲を満たす道具」くらいにしか思っていないらしい。
だから緑花には、『兄さんだけは辞めておいて』と念押しされていた。
それなのに、この現状…
(玉の輿は諦めるしかなさそう…)
私は心の中で落胆したのだった。