家政婦だって、恋したい
「だったら、家政婦なんて辞めてしまえっ!」
(…やっぱり言うと思った。)
こうなると、ゆうくんは絶対譲らない。
いつもなら、それで私が折れるんだけど、今回ばかりは家族のためだ。
私も譲れなかった。
「ゆうくんが何と言おうと、私は辞めません。」
キッと睨み付けて、黙々と手を動かす。
初めてみせる私の反応に驚いているゆうくんは、それ以上何も言う事なく、大人しくなった。
(ここまで大人しいと、逆に何かありそうで怖いわね…)
そんな事を考えていた私の予想は、見事に的中する事になるなんて、
この時の私は、本気で思ってはいなかった。