家政婦だって、恋したい
「いえいえ、こちらこそ。結衣さんには、朝から晩までお世話になっていますよ。」
俺も対抗して微笑み、「朝から晩まで」を強調しながら答える。
俺たちは暫し、笑顔で牽制しあった。
「…えっと、貴方は?」
俺たちの空気に耐え兼ねた拓哉が、口を挟んできた。
「あっ!この人は――」
「結衣の彼氏です。」
結衣の言葉を遮って、男が割り込んで来た。
「彼氏としては、男の家に住み込みで働かせるなんて嫌なので、今日限りでこいつは辞めさせます。それでは、失礼致します。」
そう言って男は微笑み、結衣の腕を引っ張って出て行こうとする。