家政婦だって、恋したい
ガチャッとリビングの扉が開く音がして、視線を向けると、碧斗さんがスーツを脱いで、Tシャツにスウェットというラフなスタイルで入ってきた。
「碧斗さん、お疲れ様です。」
「…ああ。」
(…何か、怒ってる?)
いつもよりも、碧斗さんは少し不機嫌な気がした。
「碧斗~…"ありがとう"くらい言えないのかお前。」
私に素っ気ない態度を取る碧斗さんと、それを叱る拓哉さん。
碧斗さんは、拓哉さんを無視して、キッチンのカウンターチェアに腰掛ける。
「結衣、飯。」
ムスッと口を尖らせて急かす。