家政婦だって、恋したい
「…あのなぁ。お前、会社で何て呼ばれてるか知ってるか?」
(へぇ…碧斗さん、異名があるのか。)
私が意外に思っている中、拓哉さんが言葉を続ける。
「"一夜の帝王"だぞ"一夜の帝王"!藤崎リゾートの社長ともあろう男が、一晩限りしか女が居ない扱いを受けているんだぞ!そんな事、会社以外に知れてみろ。俺だったら、恥ずかしくて外も歩けない…」
「…本当のことじゃねぇか。」
顔を両方の掌で包んで泣き真似をする拓哉さんを余所に、碧斗さんはしれっと言う。