家政婦だって、恋したい




こうして私たちは、新しく出来た旅館、『金麗花』にやって来たのだった。




「お待ちしておりました、社長。」

旅館に着くなり、大女将と支配人を筆頭に、若女将と番頭さん、板前さんや仲居さん等、従業員全員で出迎えてくれた。


そして、若女将が碧斗さんの近くに来た。

「なかなか良い旅館になったな、麗奈(れな)。」

「ええ、お陰様で。社長のお蔭ですわ。」

にっこりと碧斗さんに微笑む若女将。


年齢は碧斗さんと同じくらいだろうか。

麗奈と呼ばれる若女将は、髪をきっちりと後ろで纏め、ベージュの紬に朱色の帯の着物が良く似合っていて、凄く綺麗な人だった。


(知り合い、なのかな?)

私は、仲良さそうに話す二人を、唯見つめていた。




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