家政婦だって、恋したい



「そう…」

麗奈さんは、ロビーで支配人と話す碧斗さんを寂しそうに見つめる。


(…もしかして、麗奈さんは碧斗さんの事が好きなのかな?)

そう思うと、騙している事にズキズキと心が痛んだ。



麗奈さんはふーっと息を吐き出すと、次に私たちに向き直った時には、素敵な笑顔だった。

「…さっ!こんな玄関でずっと立っているのも何だし、入って下さいな?お客様。」

その言葉に促され、私たちはロビーで話す碧斗さんの元へと足を進めた。


それから、
麗奈さん同様、支配人と大女将にも恋人だと紹介され、私は終始俯いていたのだった。


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