家政婦だって、恋したい
―碧斗side―
『金麗花』に着いて早々、現状把握で忙しかった俺は、結衣を放っておいて社長に専念していた。
色々な場面で会う連中に、結衣を俺の"恋人"だと紹介する拓哉。
正直ウンザリしていたが、社内の俺に対する良からぬ噂は知っていた。
(一夜の帝王ってなんだよ…俺王様じゃないし。)
まぁ、一夜だけの関係は本当だから、今まで何も言わないでおいたが、これから開業するこの『金麗花』にまで届いて、悪影響を与えてもらったら困る。
だから、「恋人」という鳥肌が立ちそうな役を受け入れる事にした。