家政婦だって、恋したい



俺はもう、恋愛はしない。


そう決めて14年が経った。

今もその気持ちは変わらないし、そうそう変えようなんて思わない。


だけど、
純粋な、嘘のない結衣を見ていると、心の奥底で何かがズキズキと痛むのがわかる。





「女は性欲を満たす道具にすぎない」

ずっとそう言い聞かせてきた。

だが、結衣が来てからというもの、そういう行為すらしていない。



結衣が来るまでの俺なら、
1ヵ月以上も寝てないなんて、とてもじゃないけど考えられない状況だ。



(どうした、一夜の帝王らしくないぞ?)

俺は空の湯飲みを見つめながら、
嫌みたらしい自分の異名を混ぜ、自問していた。



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