もしも、もしも、ね。
「荒川さん達のグループ、正直馬鹿じゃない?
だから気付いちゃうか気付かないでくれるかは一種の賭だったよ。」
「望果・・・。」
「でも、気付いてたかもね?
自分たちのせいで、暁里と裕哉君が喧嘩腰になったのが罪悪感あってきっかけ作りたかったのかもね?」
本当に、何処まで計算してるんだか。
苦笑してきっと情けない顔してる、私。
「言ったでしょ?私は暁里が幸せになる方向に協力するってさ!」
私から体を離し大きく言った親友の声は自信に満ちあふれていた。
嬉しそうな細い目、綺麗な弧を描いた口。
興奮?恥ずかしさ?白い頬はちょっと赤くて。
「望果。」
「なーに?お叱りの言葉は受けないよ?」
「―――ありがとう。」
純粋に、お礼を言う。
姫は嫌だけど、望果が私のことを考えてくれたってことはすごくすごく嬉しいから。
彼女は、目をぱちくりと瞬かせて。
それから、
「どういたしまして!最高の相方でしょ、あたし!」
と手を腰に当てて胸を張ったのだった。
あぁ、罪悪感が胸を焦がす。
「望果ー!いつまで喋ってんの!!」
「まだまだ配るのあるんだよぉ~」
前からなっちとともちゃんの怒った声と泣きそうな声が響く。
望果は「ごめんごめん!」と叫ぶと、私にVサインを一つ残して前に帰っていった。
・・・まったく。
はぁ、とため息はつくけれど、それは重い空気じゃない。