もしも、もしも、ね。
「―――ねーねー、口挟んで悪いんだけどさーあ?」
望果が「はい」と挙手した。
「今の暁里の案、あたしいいと思う。」
「あ、俺も思った!」
「・・・私、何言った?」
何言ったっけ?
准君まで賛同してるけど、意味わかんない。
首を傾げると望果は「暁里らしいッ!」と笑いながら、右手の人差し指をぴょこっと天井に向けた。
「ほら、布裏返してみるとか風船の色選ぶとか?」
「あとこの部屋に居たくないやつ宣伝とか!」
「もしかしたら黄色とかだったらこのピンクに合いそうじゃない?」
「あ、うちオレンジならテーブルクロスあるよ~。」
「植物の緑だったら馴染むかもな。」
「窓を敢えて装飾しないで透明にすれば空の青が入るよね。」
望果と准君の案に引き続いて、クラス中がざわめきだして新しい案が飛び交う。
それは、この部屋のピンクを緩和させるための案。
緩和させて、彼らも参加してくれるように思う、思いやりの案。
2Bの一致団結の現れ。
「参加、するよね?」
YESしかないでしょ、と言う意を含めて私はにっこりと笑う。
このクラス中の気持ち、伝わらないわけがない。
顔を見合わせた苦虫をかみつぶしたような彼らの表情はゆっくりと緩んで。
「「「―――あぁ。」」」
とまだ引きつりながらも笑顔を返してくれた。
よかった、と思う。
望果の努力が消えなくて。
「暁里、助かったよ。」
クラスのみんなが各々の仕事に戻る中、私の隣に来た望果が頭を掻きながら笑う。
私は少し意地悪をするようににっと笑って、
「最高の相方が一番幸せな方向に協力したくて。」
と告げた。
望果は一瞬きょとんとして、それから「あー、私の台詞取った!」と膨れたけれど、
すぐに最高の笑顔を見せてくれた。
「ありがとう、暁里!」