もしも、もしも、ね。


―――そっか、普通の女の子ってユウみたいなの彼氏にするとそういう風に思うんだ。

それはいいヒントを貰ったな。

無関係な方向に思考を働かせていると、、

「ふーん」と思案顔だった荒川さんが急ににやりと笑った。



「そんなこと言ってると、私取っちゃうよ?」

「どうぞ?」



不思議と、この間-二人で買い物してきた時ね-と違って腹は立たなかった。

ユウ本人がいないからかな?

いやいや、違う。

私はこうさっぱり真っ直ぐ言ってくれる人の方が好きだから。

何も考慮せず言った私に、荒川さんはまた脱力したようだった。



「―――その余裕が、裕哉を独占出来るのかもね。」

「え?」

「なんでもないわよ。」



何か呟いたようだったけれど、私は聞こえなかったから聞き返す。

荒川さんは苦々しくそう言って、それから「一回で聞き取りなさいよね。」と口を尖らせる。



「それはそうと桜野さん。」

「はい?」

「・・・暁里で、いい?」

「いいよ。じゃ、私も美香って呼ぶ。」

「みぃにして。美香を名前で呼んでいいのは男だけなの。」



男にだけ呼ばせるなんて、それはまた随分な小悪魔ですこと。

それでも女の子同士と一緒に居られるのは、

正面から宣戦布告出来る自信とサバサバした雰囲気を持ってるからかもしれない。

(そして私も嫌いじゃない)



「うん、じゃ、みぃも手伝って来なよ。」

「そうする。風船の方よろしくね、暁里。」

「任せてよ。」



ぐっとガッツポーズをすると、みぃもにっこりと笑ってガッツポーズをした。

そういうナチュラルな表情の方が可愛いのに、と思う。

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