もしも、もしも、ね。


「―――・・・あ。みぃ、ありがとね。」

「何が?」



さっきと立場が逆転したみたい。

私のお礼は、一般女の子のヒントをくれたからなんだけど・・・。

ユウとの付き合いが嘘とは知られてないし、なんと言うべきか。



「何がだろ。」



腕を組みながら、誤魔化してみる。

一瞬きょとんとしてから、



「暁里ってやっぱ変だわ。」



と、みぃは笑った。ごくごく自然に。

すがすがしいその笑顔は何か吹っ切れたようだった。



望果じゃないけど、やっぱり気にしてくれてたのかもな。私とユウのこと。

そう思えば彼女も一概に悪い人だなんて言えない。

またいいこと知っちゃった。

そう思ったら、笑顔が漏れた。



みぃは私から離れると、さっき喧嘩した男子達の元に行っていた。

両手を合わせてお得意の上目遣い。

一気に赤くなる男子は、両手をブンブンと振っている。

(たぶん「こっちこそごめん」とか「いいよ」とか言ってるんだろうな。)

悩殺おねだりポーズで謝罪か。

顔と頭は使いよう、かな?



一概に悪い人じゃない・・・それは認める。

でも、あの小悪魔っぷりだけは見てもやられても微妙だな。

私は肩をすくめて、でもなんかどことなく楽しくて、私も自分の仕事場に戻った。


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