もしも、もしも、ね。
*4*
私たちが行った先は屋上。
私たちの出逢いと始まりの場。誰も来ない、独占の場所。
そういえば、ここに来るのあの時以来だな。
空は雲一つなくって、夕日で少しだけオレンジ色。
そこに手を伸ばして私は思いきり伸びをした。
「んで?ユウは一体何の用?」
「ごめん、って言おうと思って。」
「?」
私は腕を下ろして身体の後ろで手を繋ぐ。
「まず、美香ちゃんのことなんだけど。」
「あー・・・。」
「前に保健室で、美香ちゃん暁里に失礼なこと言っただろ?」
すっかり忘れていた。
(興味なかったし?みぃと仲良くなっちゃったし?さっき男子達怒ってストレス発散したし?)
「別に気にしてないよ?あんなんでユウへの何かが変わるわけじゃないし。」
そりゃちょっとは怒ったけどね?
もともと最低ラインの「大嫌い」にいるのに、それ以上評価が下がるわけでもあるまいし。
そういう(悪い)意味なんだけど、
ユウは一瞬疑うように私を見て、それからほっとしたように息をついた。
「本当にあれ誤解だったんだぜ?俺お前のことあんな風に美香ちゃんに言ってない。」
「だからいいって。もう昔の話。」
昔、って言っても数週間ですけれど。
にこっと笑ったのにユウはまだ何か渋った様子で「それから」と言葉をつなげた。
なんとなく予想がついて、先に言葉を拾う。