もしも、もしも、ね。
「白雪姫の衣装、お前すっげー似合ってた。」
真っ直ぐな、視線。太陽で金に見える、髪。ちょっとだけいつもより低い、声。
また風が吹く。
私の髪はそれに攫われ、私の視界を遮った。
ユウの目線を私から遮ると同時に、
私の顔をユウから遮った。
「ユウこそ似合ってたよ。・・・もう散々他の女の子に言われただろうけどさッ。」
私はバッと顔を逸らしながら吐き捨てるようにそう言った。
「お前いちいちそういうこと言うなよ。」とユウの苦笑する声が耳に飛び込んでくる。
そんなこと言ったって。
私の心臓。
壊れそうなくらい、 早 鐘 。
「―――暁里?」
「うるさい。」
「お前赤くない?」
「夕日のせい、目の錯覚!」
「は?そんなわ「眼科行け眼科ッ!!!」
怒鳴れば怒鳴るほど、顔が熱くなる。
何よ、どうしてよ。
不意打ちなのよ、ユウのバカ。
少し間をおいてから聞こえてくるクスクス笑う声に、顔どころか体中が熱くなる気がした。
「頑張ろうな。」
「―――・・・当然。」
優しい声にツンと答える私はやっぱり可愛くない。