もしも、もしも、ね。


「白雪姫の衣装、お前すっげー似合ってた。」



真っ直ぐな、視線。太陽で金に見える、髪。ちょっとだけいつもより低い、声。

また風が吹く。

私の髪はそれに攫われ、私の視界を遮った。

ユウの目線を私から遮ると同時に、

私の顔をユウから遮った。



「ユウこそ似合ってたよ。・・・もう散々他の女の子に言われただろうけどさッ。」



私はバッと顔を逸らしながら吐き捨てるようにそう言った。

「お前いちいちそういうこと言うなよ。」とユウの苦笑する声が耳に飛び込んでくる。

そんなこと言ったって。

私の心臓。



壊れそうなくらい、 早 鐘 。



「―――暁里?」

「うるさい。」

「お前赤くない?」

「夕日のせい、目の錯覚!」

「は?そんなわ「眼科行け眼科ッ!!!」



怒鳴れば怒鳴るほど、顔が熱くなる。

何よ、どうしてよ。

不意打ちなのよ、ユウのバカ。


少し間をおいてから聞こえてくるクスクス笑う声に、顔どころか体中が熱くなる気がした。



「頑張ろうな。」

「―――・・・当然。」



優しい声にツンと答える私はやっぱり可愛くない。


< 122 / 299 >

この作品をシェア

pagetop