もしも、もしも、ね。
本日ホールに出たのはユウ、准君、望果、私。
え?もう想像出来たって?
そうなの。学校1のモテ男、たぶん人気ランキング2位の男、女版ユウに近い親友。
そんな彼らがコスプレしてホールにいると、どうなるか・・・分かるでしょ?
「お待たせいたしましたー。」
「あ、裕哉ぁ。来たよ来たよー。」
「注文すればもっといていいんだもんねー?」
「カルピス頼んだ人―!」
「あ、クッキー食べさせてあげる!はい、裕哉、あーん。」
持って行った瞬間の、盛り上がり。
その中心にいるのは・・・ユウ。
一瞬バチッと目が合った。
手刀を切って眉を潜めるユウに思い切り笑顔を見せれば、さっきの男よろしくその顔は引きつった。
まったく、ここはホストクラブじゃないんだっつーの!!
店員を囲んで盛り上がるテーブルが3つ。
どこも同じ状況。
もちろん、ユウだって准君だって望果だって、何とか言いくるめようとしてるんだよ?
―――だけど、敵は厳しいらしい。
それは、見ればわかる。
(実際さっきの女の子の「注文すればもっといていいんだもんねー?」って言葉は、
きっとユウが「注文しないなら帰って」とでも言ったんだろう)
それに、なんとか抜け出せたところで、
廊下にはまだまだ獲物を狙うライオンのような顔をした男の子女の子に溢れている。
客が変わるだけで現状は変わらないだろう。
「ま、こんだけ客が来れば喫茶部門はいただきね。」
なんてあくどいことを考える私。
だって部門賞を取ったら、しばらく掃除なんて面倒くさいものしなくて済むし。
その呟きを聞いたレジのともちゃんがクスクスと笑うから、Vサインを返した。